マンション1階の部屋を売却したいと考えたら、「1階だとなかなか売れないんじゃないか」と不安になるかもしれません。
確かに1階には他の階にはないデメリットがいくつかあります。真っ先に思いつくのは防犯面でしょう。
しかし、1階ならではのメリットもたくさんあります。
あなたもデメリットとメリットを比較して、メリットに惹かれて購入したはずです。
人によって好みは違います。デメリットを重視して敬遠する人もいれば、メリットに魅力を感じて「ぜひ買いたい!」と思う人もいます。
やみくもに悲観的にならずに、資産価値を見直して1階の部屋の売却について考えてみましょう。
この記事では、1階の売却時のメリットとデメリットをピックアップしてみました。
マンション1階の売却でのマイナス面をまず知っておく
1階の部屋にネガティブな面があるのも事実です。
プラス面を知る前にどんなネガティブ要因があるのか知っておきましょう。
これらのうちの一部分でも譲れない人は絶対購入してくれないので、追いかけてもムダとも言えます。
防犯面
1階を嫌がる理由の一番とも言えるのが防犯面の問題でしょう。
泥棒や強盗がベランダから容易に侵入できると考えて、1階を避ける人は多いものです。
1階は道路に近い分、人目が多く泥棒には狙われにくいという考え方もありますが、購入希望者の印象はそう簡単には変わらないでしょう。
しかし、屋上からベランダに侵入する方法による最上階の被害も多いようです。
結局は防犯対策が大事ということです。1階でも窓などの防犯対策をしっかりしていれば、この問題はクリアできるかもしれません。
水害に弱い
マンションの立地にも寄りますが、2階以上の部屋に比べると水害に弱いと言えます。
大地震による津波はもちろんのこと、昨今の異常気象による短期集中豪雨や毎年の台風などで大雨を原因とした洪水が起こり床下浸水をする可能性もあります。
とは言っても、一戸建てに比べれば基礎が高いので、マンション1階の方が安心です。あくまで2階以上の部屋と比較すると弱いというだけです。
プライバシー問題
窓の外の道路との高さの関係によりますが、カーテンを開けると歩行者と目線がバッチリ合う、トラック運転手から室内が丸見えといった状態では、カーテンを常に閉じておかなければプライバシーが守られません。
最近のレースカーテンは性能が上がっているので、良いものを使えばあまり気にならないかもしれません。
しかし、高層階ではカーテンも開けっ放しで過ごせると思うと、デメリットと感じる人も多いでしょう。
湿度が高い
1階の部屋は地面に近い分、湿気に悩まされます。
実際に住んでいて問題なければ、売却時に「1階でも湿気はあまり気にならない部屋です」とアピールしてもいいでしょう。
湿度が高いと、結露やカビ対策に頻繁に空気を入れ換えないといけないので、嫌がる人も多いでしょう。
風通しが悪い
湿度が高くなる原因にもなりますが、立地によってはどうしても風通しの悪い可能性があります。
これは近所に高い建物がどれくらいあるかにもよります。
問題なければ、「近隣住居とは離れているため、風通し良好です」などとアピールできます。
地面からの冷気
地下室ってひんやりしますよね。
それと同じで1階の部屋は冷えます。夏場は涼しくていいかもしれませんが、冬場は底冷えします。
虫が多い
マンション3階以上なら蚊がほとんどいないという話もありますが、1階はもちろん蚊も発生します。
地面を歩いて移動できるので、蚊だけでなくゴキブリなど他の虫も出やすいでしょう。
日当たり不良
マンションが数多く建っているエリアなら、1階は日当たりが悪いかもしれません。
逆に日当たりは確保できている部屋なら、その点はしっかりとアピールしておきましょう。
上階からの落下物
専用庭があれば、そこにいろいろと落下物がありませんか?
タバコの灰や吸い殻、飛ばされた洗濯物、洗濯ばさみ、布団などなど。
近所つきあいの一環でもありますが、面倒と言えば面倒でしょう。
マンション特有の見晴らしには期待できない
マンション=見晴らしが良い!と思い込んでいる人をガッカリさせることになるかもしれません。
1階なので、眺望に期待をする方が間違っているとは思いますが、内覧に来る人の中にはそういう人もいるでしょう。
近隣の道路を走る車に起因する問題
部屋に隣接する道路の交通量が多かったり、トラックが走る道になっていたりすると、車の騒音や排気ガスのせいで窓が開けられない部屋もあります。
おおよその交通量は購入希望者も分かると思いますが、平日と休日、昼と夜で状況が変わるようなら、その点も伝えておく方が後々のクレームを避けられるでしょう。
周りからの騒音
1階なら下への騒音には気を遣わなくていい分気楽ですが、上や両隣からの騒音に余計に神経質になるかもしれません。
自分が気を遣って住んでいるとお互い様という気持ちにもなりますが、なぜ自分だけ我慢しないといけないのかという思考回路に入ってしまうような人にはよくないでしょう。
安物と思われがち
「マンション1階を購入した」と親戚や友人に告げると、上で挙げたようなデメリットだけを想像して、それを受け入れても安い1階を買うしかなかったんだ……という風に受け取られる可能性があります。
もちろん高層階よりは安いに違いありませんが、実際は専用庭があればそこまで安くはなかったはずです。2階の方が安いというマンションもあるでしょう。
見栄を張りたい気持ちの強い人には、1階の部屋は売れないでしょう。そもそもそういう人は内覧にも来ないはずなので売却には関係ないとも言えます。
マンション1階のメリットはこんなにあります
マイナス面ばかり読んで気が滅入ったかもしれませんが、1階ならではのメリットもたくさんありますので、安心してください。
マンション売却時には、メリットを物件情報できちんとアピールして購入希望者に伝わるようにしましょう。
専用庭やカーポートがある
1階の部屋なら専用庭やカーポートがありませんか?
その点はかなりのメリットなので、きちんとアピールしましょう。物件情報に写真なども是非掲載したいところです。
庭があれば、ガーデニングなどの庭いじりや、子ども用の家庭用プールもできます。
まるで一戸建てみたいに住めるのに、管理は任せられるのでとても楽です。
また、カーポートがあれば車や自転車を部屋の近くに置けて安心ですし、荷物の運搬や子どもの乗り降りにも便利です。
専用庭に物置がある、もしくは設置可能なら、季節物の収納にも役立ちます。
他にも
- 庭にテーブルと椅子を出してくつろげる
- 子どもに草花を育てる経験をさせてあげられる
- 子どもに虫を触る遊びを庭でさせてあげられる
などさまざまなメリットが考えられます。
しかし、専用庭とはいえバーベキューなど制限されていることもあるので、マンションの管理規約をチェックしてできることとできないことは売却前に把握しておきましょう。
騒音に神経質にならなくていい
1階なら下に部屋がないので、騒音にあまり気を遣わなくてもいいでしょう。
子どもが走り回っても、おもちゃを床に落としても多少は安心なので、子育て世帯には強くアピールできます。
もちろん上階と隣室などは気にする必要はありますが、下の部屋がない分気楽でしょう。
歩く音や、掃除機の音、物を落とした音などの生活音をあまり気にしないでいいのも大きいです。
また、ペット可のマンションでは犬や猫の走り回る音も響きにくくて、ペット好きには好まれるでしょう。
子どもの落下事故の心配が少ない
1階なら地面に近いので、子どもがベランダや窓から落ちる心配が減ります。もし万一落ちても、大事故にはなりづらいでしょう。
下に物を落とす心配がない
マンションの高層階では、洗濯物が強風で飛ばされたり、洗濯ばさみをうっかり落としてしまったりすると、ちょっと大変です。下の車などに傷が入れば弁償も必要です。
その点、1階なら洗濯物が飛んでいっても、たいしたことにはなりません。逆に落ちてくる心配はしなくてはいけませんが。
外に出るまでが早い
1階のメリットは意外とこれが大きいかもしれません。
1階ならドアを開けてすぐにエントランスを通って外に出られます。階段やエレベーターを使う必要がありません。
高層階だと外に出るのが億劫になって部屋に閉じこもりっぱなしになる心配もあります。若いうちは良くても、歳を取るとだんだん外出が面倒になるかもしれません。
また、新聞や郵便物を取りに行くのも楽です。
荷物の運搬に便利
部屋までが近い分、荷物を運ぶのにも便利です。
買い物から帰ってきて、重たい荷物を持って上まであがらなくていいのは実はとても嬉しいことです。
スーパーで飲み物や野菜などを大量に買って運ぶのは女性にはけっこう大変です。1階なら車までも近いのでそういう大荷物のときにも楽なんです。
幼い子どもを抱っこして移動しなければいけないときにも部屋が近いのは嬉しいでしょう。
週2回のゴミ出しでもゴミ捨て場が同じ階にあるので、捨てやすいです。ゴミを持ってエレベーターで他人と一緒になる気まずい自体も避けられます。
また、頻繁にあることではありませんが、大型の家具家電を購入したときや引越しにも1階は便利です。配送料金も安く抑えられる可能性があります。1階なら家具家電を自分で持ち帰るのも可能です。
エレベーターを利用しなくていい
1階なので、当然ですがエレベーターを利用しなくていいのもメリットです。
いちいちエレベーターを待たなくていいので、日々の外出時の無駄な時間を省けます。
停電や定期点検時でもエレベーターを使わないので関係ありません。
朝の通勤時間帯などにエレベーターが混雑していても関係なし。
エレベーターを使用しない分、メンテナンス費を負担しなくていいので共益費が安いマンションもあります。(現状他の部屋と同じなら管理組合に交渉してみるのもありでしょう)
地震のときに安心
大規模な地震に見舞われたとき、1階ならいろいろと安心です。
まず、低層階の分あまり揺れない点が挙げられます。免震や制震などの耐震構造にもよりますが、東日本大震災の際にタワーマンションの上層階ではゆっくりと長く揺れたケースがあったそうです。
また、地震のあと、早く外に出られるのもメリットでしょう。エレベーターが止まっていても関係ありません。混雑した階段を何十階分も降りる必要はありません。
また、地震で万一ドアが動かなくなっていても窓から簡単に外に出られます。2階以上ならバルコニーの避難ハッチなどを使わないといけないでしょう。
地震が収まったあとの給水でもかなり楽ができます。エレベーターが止まっていて高層階まで何度も水を階段で持ち運びすることを考えると1階はうらやましがられるでしょう。
階段がない
1階ならマンションの中でも、室内でも階段がないため、かなりバリアフリーと言えます。厳密にはエントランスや廊下に多少の段差があるかもしれませんが。
ベビーカーや車いすでの移動にはとても便利です。
ピアノなど重いものの設置でも安心
1階ならピアノを設置しても床が抜ける心配も少なく、搬入もしやすいでしょう。
しかし、グランドピアノなどは禁止となっているマンションもあるので、管理規約を確認する必要はあります。
高所恐怖症でも安心
意外と多い高所恐怖症。これが理由でマンションの上層階には住みたくない人もいます。
水回りのトラブルで迷惑をかける心配が少ない
あまり遭ってほしくない事態ですが、水漏れなどの水回りの事故でも下の階に迷惑をかけなくて済みます。
下の部屋のパソコンやテレビを水浸しにしてしまう恐れがないので、少しだけ安心です。
実はマンションの1階は人気物件
以上のように1階の部屋には独特のメリットがかなりたくさんあります。
これらに気づいている人も多く、新築の分譲マンションでも1階の部屋はけっこう人気です。
子育て世帯や高齢者世帯には1階のメリットは見逃せないものがあるのでしょう。
子育て世帯は今後減り続けるかもしれませんが、高齢者世帯は確実に増えていきます。
広い一戸建てを売却して、管理の楽なマンションに引っ越したいという需要も増えてくるでしょう。
そうなったときに、お年寄りにやさしい1階の部屋はかなり売りやすくなるのではないでしょうか。
需給のバランスによっては、値上がりが見込めるとも言えます。
そうした資産としての価値をアピールすれば、買主としても納得して購入できるでしょう。
1階だから売りにくいというのは売る側の思い込みで、買う側からすると1階は掘り出し物かもしれません。
まとめ
「1階だから売れないんじゃないか」という心配はかなり薄らいだのではないでしょうか。
子育て世帯や高齢者世帯に人気と書きましたが、一方で単身女性や子どものいないDINKSの夫婦には敬遠されて売れにくいかもしれません。防犯面のデメリットが大きい上に、子育てでのメリットが感じられないためです。
マンション売却全般に言えることですが、売れるか売れないかは、悩んでいても分かりません。結局は売りに出したときに買いたい人がいるかどうかです。
しかし、1階の部屋は同じ間取りで高層階に比べると安いので、それだけでも買いたい人は必ずいるはず。そして、いろいろなメリットもあります。
売却時には、アピールするポイントを不動産業者にもしっかり伝えて、ネット上の自分の中古マンション情報にそれが反映されているかのチェックだけは怠らないようにしましょう。